common houseは、本を通して感覚をひらくための場として構想されたスペースです。アパートの一室を改装し、和室の名残を残すなど、既存と新しい要素が混ざり合う空間となっています。 本棚やカウンターは素材を統一し、用途に応じたスケールで配置することで、家具でありながら場に自然に馴染む佇まいを意識しました。扉はもとの枠を活かして新しい建具を入れ、壁の塗装には施主の手も加わるなど、人の手で少しずつ仕上がっていく“過程”がこの空間をかたちづくっています。 設計にあたっては、すべてを整えすぎず、訪れる人それぞれの身体や感覚に委ねられる“余白”を意識しました。誰かの心地よさが、誰かの不安にならないように。そのバランスを探りながら、場のあり方を丁寧に組み立てています。 本や飲みもの、軽食を手に、過ごし方を自由に選びながら静かに時間を過ごせる場所として、日々の暮らしのなかでふと立ち寄れる存在であってほしいと思います。
2025.02 type : interior,furniture place : setagaya-ku client : common house @commonhouse101 design : saiku Construction : saiku photo : hiroki yumoto @hiroki_yumoto